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利用者が胸痛を訴えたときのアセスメントポイントと気を付けることは?【訪問看護】

「気分が悪い」「おなかが痛い」「昨日寝れなかった」

訪問看護の場面では、利用者から様々な情報をいただきます。

その中でも、「胸が痛い」という訴えは緊急性が高いことも多く、じっくりとアセスメントしていく必要があるでしょう。

あまり望ましくはありませんが、日中に胸の痛みがあって、そのままにしておいたら夜間に緊急搬送されたという例も事実としてあります。

特に訪問看護が介入しているのであれば、このようなサインを見逃さず、未然に防ぎたいところでしょう。

この記事では、利用者が胸痛を訴えたときのアセスメントポイントや気を付けることを中心に解説してまいります。

特に訪問看護初心者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

胸痛の原因

まずは胸痛の原因です。

胸には筋肉や血管はもちろん、やはり心臓が近くにあるというのが特徴でしょう。

ご存じの通り、心臓が止まってしまうと人間は生きられません。

心臓系の疾患は特にアンテナを張って評価していく必要があると考えます。

利用者から情報収集をする

利用者、または家族から得られる情報はかなり大切です。

なぜなら、訪問看護は病院と違い、常に状態を把握することはできません。

そのため、訪問看護が介入していない時間はどうだったかを聴取する必要があります。

胸痛を訴える利用者には、以下のような内容を聴取すると良いでしょう。

胸痛がある場合の問診はかなり重要です。

なぜなら、痛みの持続性や程度、痛みの種類などを聴取するだけで、ある程度緊急性の高い状態が分かるからです。

痛みが強い場合は問診どころではないかと思いますが、会話ができる場合は必要な情報を端的に聞き出せるようにしましょう。

症状から疾患を推察していく

そして、問診で聴取できた症状から疑われる疾患を探っていく必要があります。

まずは急性心筋梗塞です。

冠動脈と呼ばれる、心臓の血管が詰まることで発症する疾患であり、死に至る可能性も高い疾患です。

急性心筋梗塞は、15分以上続く強い胸痛を認めるのが特徴です。

また、動悸や血圧低下、めまいや吐き気などを伴うということも押さえておきましょう。

次に狭心症です。

急性心筋梗塞との違いは、狭心症の場合は数分で痛みは消失することが多いということです。

その他、労作時に痛みが出たり、首から肩にかけて放散痛がみられることもあります。

大動脈解離、気胸、肺血栓塞栓症も緊急度が高い疾患であり、どれも急激な激痛が生じます。

その中でも大動脈解離は背部痛を伴うこと、気胸は深呼吸によって痛みが増強すること、肺血栓塞栓症は咳や血痰を伴うという特徴があるので押さえておきましょう。

皮膚や神経の痛みなどでも胸痛は生じることがあります。

皮膚の痛みとして代表的なのが帯状疱疹です。

ピリピリとした激しい胸痛が出現して、体の片側に水ぶくれが出現するという特徴もあります。

肋間神経痛も体の片側に出現することが多く、深呼吸や姿勢の変化で増強するという特徴があります。

また、嚥下障害がある人は逆流性食道炎も疑ってみると良いかもしれません。

不安や過換気症候群といった、胸痛は精神的負担から出現することもあるということも押さえておきましょう。

緊急度が高い胸痛のサイン

ご紹介したように、一言で胸痛といっても緊急性が高いものもあれば、様子見で良いものもあります。

そんな中、訪問看護という短い時間の中で、正確に疾患を断定するのは難しい部分も出てくるでしょう。

ただし、「疾患は断定できないが緊急度が高いことに間違いない」、もしくは「緊急度が高い可能性が極めて高い」というアセスメントは最低限できるようになるべきだと考えます。

その一助として、緊急度が高いサインは頭に入れておくと良いでしょう。

画像に示したような症状を認める場合は、すぐに医師に連絡をしたり救急要請も視野に入れるべきだと考えます。

キーワードは、「激しい胸痛」「痛みの広がり、移動」「意識障害」「バイタルサインの変化」です。

バイタルサインを測定する

バイタルサインとは利用者の生命に関する最も基本的な情報であり、心拍数・呼吸数・血圧・体温の4項目を指します。

バイタルサインを測定すれば利用者の状態を客観的、かつ数値で把握することができるため、かなり重要な情報となります。

そのため、弊社では看護師、リハビリスタッフともに訪問をしたらまずはバイタルサインを測定します。

意識レベルを評価する

利用者との会話やバイタルサインを測定しているとき、同時に意識レベルを評価すると良いでしょう。

意識レベルの評価には、「JCS(Japan Coma Scale)」や「GCS(Glasgow Coma Scale)が主に用いられています。

胸部を評価する

胸痛がある場合、当たり前だが胸部の評価は必要になってきます。

一例として、胸部を打診して胸痛がある方の胸に鼓音を認めれば気胸であることが推察されます。

打診は自分の逆の指を間にかませ、中指でスナップをきかせながら叩くと効果的です。

打診と同じく、呼吸音を聴診して左右差を確認することも重要になってきます。

気胸の場合は呼吸音の左右差を認めることが多いとされています。

ただし、正確に呼吸音を聴診するには、それ相応の経験が必要となります。

弊社では初心者でも理解がしやすくなるよう、弊社スタッフ限定で研修動画サービスを提供しています。

実際の音の違いなどを分かりやすく解説しています。

弊社専用のサーバー内にアップロードしているため、いつでもどこでも視聴できるのが特徴です。

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胸郭の拡張性を評価する

聴診をするときは、胸郭の拡張性も見るようにしましょう。

通常、胸郭は左右対称に位置していますが、胸水や気胸、片側のみの肺炎がある場合は左右差を認めます。

また、通常であれば深呼吸の呼気時に約4~6cm胸郭は拡張しますが、肺気腫やCOPDがある場合は拡張性が低下するとも言われています。

訪問中、胸痛が出現したら?

では訪問中、利用者が胸痛を起こしたとします。

まず、緊急性が高い胸痛に即効性のある対処法はほとんどないということは覚えておきましょう。

有無を言わずに救急要請をする必要がでてきます。

ここでは、緊急性が低いとアセスメントできた場合の対処法をご紹介します。

まずは、狭心症などの利用者でニトログリセリンが処方されている場合です。

舌下錠、バッカル錠、トローチ錠で経口方法は異なりますが、胸痛時にはすぐに一錠を舌に入れて溶かすようにしましょう。

本来、狭心症であれば1~2分程度で効果は見られると言われています。

もし、5分以上しても症状が軽減しない場合はもう一錠舌下します。

ちなみに、錠剤を嚙み砕くことはNGです。

ニトログリセリンは血圧を下げる作用があるので、続けて多用するとかえって気分が悪くなったり、動機やめまいが出現することもあるので注意をしましょう。

ニトログリセリンが効かない胸痛は、心筋梗塞や他の疾患による痛みである可能性が高いと考えます。

また、狭心症発作の症状が今までよりも強くなったり頻度が多くなったとき、舌下してもおさまりにくくなった時、安静時でも生じるようになったときなどは、医師に相談をしましょう。

次に、過換気症候群を代表する精神的な不安で胸痛を起こしている場合の対処法です。

そのときは呼吸法を意識してみましょう。

まずは楽な姿勢をとって、呼吸を正常なリズムに戻すことが重要です。

ポイントは、「息を吸う:息を吐く」という動作を「1:2」の割合で行うことです。

吸うときは口を閉じて鼻から深く息を吸いましょう。「1,2」と数えながらお腹を膨らませるように吸うと効果的です。

吐くときは、口をすぼめてゆっくり息を吐くように意識をしましょう。「3,4,5,6」と、吸うときの倍の時間をかけて、おなかをへこませながら吐いていきます。

口をすぼめて、小さく長い呼吸をするように意識をします。

主治医やケアマネジャーへの報告・連絡・相談

何かいつもと違うことが起こったとき、主治医やケアマネジャーへの報告・連絡・相談は重要です。

なぜなら、私たち訪問看護が単体でできることには限界があり、チームアプローチとして利用者に関わることが求められると考えているからです。

特に弊社では、よりよい関係性を築かせていただきたいという思いも込めて、多職種へとの連携を重要視しています。

緊急性が高いと判断できた場合は、その場で主治医に連絡、もしくは救急搬送の対応をするようにしましょう。

いきいきSUN訪問看護ステーションのサポート体制

このようなポイントをおさえていたとしても、訪問看護は一人で訪問をすることが多いという特徴柄、いざ予期しない出来事に遭遇すると焦ってしまうものです。

特に初心者の方だと不安を抱えてしまう人も多いでしょう。

いきいきSUN訪問看護ステーションでは、以下のようなサポート体制によって、スタッフが安心して訪問をできる環境を整えております。

①ICTの活用にて遠隔でもサポートが受けられる

弊社では業務効率化を目的に、さまざまなICT技術(電子カルテシステム・コミュニケーションツール・情報共有ツール・IP電話ツールなど)を活用しています。

スタッフにはスマートフォンを貸与しており、チャットシステム(Synologychat)を利用すればいつでもスタッフ間でメッセージのやり取りをすることができます。

もちろん、緊急の際や自分一人での判断に困る場合は、電話で管理者が対応いたします。

②動画研修サービスの充実

訪問看護は利用者の自宅に訪問をするという業務のため、事務所にいる時間が限られます。

そのため、勉強会を開くとなると時間外になってしまうことも少なくありません。

その点、弊社ではいつでもどこでも研修を受けられるよう、動画研修サービスを充実させています。

専用のサーバーに動画をアップしているので、貸与したスマートフォンからいつでもどこでも視聴することが可能です。

訪問のスキマ時間に見ているスタッフも多くいます。

VTuberの採用、フルテロップなど分かりやすいと大変好評です♪

「訪問看護に興味がある」「初心者だけど大丈夫かな」

このように思っている方は、ぜひいきいきSUN訪問看護ステーションで働いてみませんか?

ステーションの見学だけでも大歓迎です!!

参考文献・参考サイト