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褥瘡とは、寝たきりの状態や車椅子生活などをきっかけとして、皮膚の血流が滞ってしまうことで生じる皮膚病変を指します。
訪問看護では寝たきりの利用者も多いことから、褥瘡に対するアセスメント力も必要になってきます。
また、褥瘡をキッカケに生命にまで危険を及ぼしてしまう可能性もあることから、未然に防ぐ関りも重要になってくるでしょう。
この記事では、褥瘡がある利用者のアセスメントポイントや気を付けることを中心に解説してまいります。
特に訪問看護初心者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
褥瘡の発生要因
まずは褥瘡の発生要因からみていきましょう。
褥瘡の発生要因は、大きく「局所的」「全身的」「社会的」に分けることができます。
局所的とは、同一部位を持続的に圧迫したり摩擦などが起こることによって褥瘡が発生します。
寝たきりの人や寝返りができない人などは同一部位を圧迫しやすいといえます。
全身的は、低栄養や疾患などで全身状態が不安定な人を指します。
また、褥瘡の発生には社会的な側面も無視できません。
例え寝たきりの人でも、低栄養の人でも、家族が定期的に体位交換をしてくれれば褥瘡は防ぐことができます。
そのため、訪問看護では家族が介護に協力的かといった、家族を含めたアセスメントをしていく必要がでてきます。
褥瘡の好発部位
次に褥瘡の好発部位です。
姿勢に限らず、基本的に体の中で出っ張っている部分が発生しやすいと覚えておきましょう。
褥瘡発生リスクの予測スケール
ここで一つ、担当している利用者に褥瘡リスクがあるのかどうか把握する指標を一つご紹介します。
画像には「OHスケール」と呼ばれる、褥瘡リスクの予測スケールを紹介しています。
自力で体位変換ができるのか、骨突出・浮腫・関節拘縮があるのかを評価して点数化をする内容となっています。
その合計点によって褥瘡リスクを軽度~高度に分類することができます。
褥瘡発生リスクのパーセンテージと平均治癒期間もデータで分かるため、予後予測に使うことも可能です。
褥瘡になりやすい人の特徴を持つ利用者は、初回介入時に評価しておくのも良いでしょう。
利用者から情報収集をする
利用者、または家族から得られる情報はかなり大切です。
なぜなら、訪問看護は病院と違い、常に状態を把握することはできません。
そのため、訪問看護が介入していない時間はどうだったかを聴取する必要があります。
褥瘡がある利用者には、以下のような内容を聴取すると良いでしょう。
痛みの有無や生活様式、褥瘡から感染症の可能性もあるため、痛み以外の症状を聴取することも重要になってきます。
バイタルサインを測定する
バイタルサインとは利用者の生命に関する最も基本的な情報であり、心拍数・呼吸数・血圧・体温の4項目を指します。
バイタルサインを測定すれば利用者の状態を客観的、かつ数値で把握することができるため、かなり重要な情報となります。
そのため、弊社では看護師、リハビリスタッフともに訪問をしたらまずはバイタルサインを測定します。
意識レベルを評価する
利用者との会話やバイタルサインを測定しているとき、同時に意識レベルを評価すると良いでしょう。
意識レベルの評価には、「JCS(Japan Coma Scale)」や「GCS(Glasgow Coma Scale)が主に用いられています。
ショック徴候に注意する
褥瘡がある利用者の場合、敗血性ショックにも気を付けなければなりません。
ショックとは臓器への酸素の供給量が低下し、生命を脅かす状態で、臓器不全やときには死亡に繋がってしまう極めて緊急度が高い状態です。
褥瘡から重症な感染をしている場合は認めることがあるため、このような状態になったらすぐに救急搬送を視野に入れましょう。
感染の有無を把握する
褥瘡の感染には、「発赤」「腫脹」「熱感」「疼痛」の4徴候があります。
発赤に加えて、腫脹などもう一つの感染徴候が確認されれば創部感染を判断することができます。
また、においも重要で、創部から膿が出て悪臭がしている場合も創感染と判断できます。
壊死組織が見られた場合は、色も重要になってきます。
黒色の場合、そしてその周囲に感染の4徴候が見られている場合は緊急度が高いと判断して良いでしょう。
白色の場合は皮下組織が死んだものが主体となるため、全身状態が安定していれば感染の可能性は低いと考えることができます。
褥瘡の評価方法
次は褥瘡の評価方法です。
褥瘡の評価方法には、主に「NPUAP分類」と「DESIGN-R」が使用されています。
褥瘡は治癒の状態を経過で追うことが重要になり、そのときにこのような分類で追うと分かりやすくなります。
特に、訪問看護は「訪問看護指示書」にもこの評価の記載欄があるため、分類が意味することはしっかりと押さえておく必要があるでしょう。
これって褥瘡?一時的な発赤?
現場では「これって褥瘡?一時的な発赤?」という点で迷うことがあります。
一つの判断材料として、発赤がある部分を指で押してみましょう。
一時的な発赤の場合は、指で押すと白くなって離すと赤みが戻ります。
一方、初期の褥瘡の場合は指で押しても白くならない、または赤みに戻るスピードが早いという特徴があります。
初期の褥瘡の場合は、すでにNPUAP分類のステージⅠに該当すると考えられるため、悪化しないよう予防していく必要があるでしょう。
褥瘡の予防方法
では、褥瘡の予防方法を具体的にみていきましょう。
まずは体位変換です。
画像では一例として、背臥位から側臥位の体位変換を紹介しています。
まず、利用者の腕を前で組み、両膝を立て、介助者は腰と肩に手を当てて体を回転させます。
背中や体が不安定な場所にクッションをいれて安定させることも重要になってきます。
次はポジショニングです。
画像には背臥位と側臥位のポジショニング方法を示しています。
各関節ごとにポイントはありますが、基本的には安定性を保つこと、骨同士が当たらないようにクッションを入れることが重要になってきます。
ただし、これはあくまでも基本的なポジショニングです。
利用者がどれだけ動けるのか、拘縮の程度などによって変わってくることはおさえておきましょう。
褥瘡の予防方法として、皮膚の清潔はかなり重要です。
定期的に入浴ができているか、オムツが放置されていないか、皮膚が乾燥している場合は保湿クリームなどを使用するよう提案しましょう。
最後は「栄養のある食事」です。
栄養と褥瘡はかなり関係が深いです。
基本的にはバランスの良い食事を取ろうという、ありきたりな表現に落ち着いてしまいますが、その中でもタンパク質や亜鉛を含む食品などが推奨されています。
主治医やケアマネジャーへの報告・連絡・相談
何かいつもと違うことが起こったとき、主治医やケアマネジャーへの報告・連絡・相談は重要です。
なぜなら、私たち訪問看護が単体でできることには限界があり、チームアプローチとして利用者に関わることが求められると考えているからです。
特に弊社では、よりよい関係性を築かせていただきたいという思いも込めて、多職種へとの連携を重要視しています。
緊急性が高いと判断できた場合は、その場で主治医に連絡、もしくは救急搬送の対応をするようにしましょう。
いきいきSUN訪問看護ステーションのサポート体制
このようなポイントをおさえていたとしても、訪問看護は一人で訪問をすることが多いという特徴柄、いざ予期しない出来事に遭遇すると焦ってしまうものです。
特に初心者の方だと不安を抱えてしまう人も多いでしょう。
いきいきSUN訪問看護ステーションでは、以下のようなサポート体制によって、スタッフが安心して訪問をできる環境を整えております。
①ICTの活用にて遠隔でもサポートが受けられる
弊社では業務効率化を目的に、さまざまなICT技術(電子カルテシステム・コミュニケーションツール・情報共有ツール・IP電話ツールなど)を活用しています。
スタッフにはスマートフォンを貸与しており、チャットシステム(Synologychat)を利用すればいつでもスタッフ間でメッセージのやり取りをすることができます。
もちろん、緊急の際や自分一人での判断に困る場合は、電話で管理者が対応いたします。
②動画研修サービスの充実
訪問看護は利用者の自宅に訪問をするという業務のため、事務所にいる時間が限られます。
そのため、勉強会を開くとなると時間外になってしまうことも少なくありません。
その点、弊社ではいつでもどこでも研修を受けられるよう、動画研修サービスを充実させています。
専用のサーバーに動画をアップしているので、貸与したスマートフォンからいつでもどこでも視聴することが可能です。
訪問のスキマ時間に見ているスタッフも多くいます。
VTuberの採用、フルテロップなど分かりやすいと大変好評です♪
「訪問看護に興味がある」「初心者だけど大丈夫かな」
このように思っている方は、ぜひいきいきSUN訪問看護ステーションで働いてみませんか?
ステーションの見学だけでも大歓迎です!!