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めまいがある利用者に訪問するときのポイントと気を付けることは?【訪問看護】

訪問看護の場面では、「今日はちょっとめまいがあるな…」「昨日めまいがあってね」という声はよく聞きます。

確かにめまいには「良性」と呼ばれるめまいもあるので、緊急度が低いこともあります。

ただし、脳梗塞といった緊急度が高い原因が隠されている場合もあるので、しっかりと評価することが重要になってきます。

この記事では、めまいがある利用者に訪問するときのポイントや気を付けることを中心に解説してまいります。

特に訪問看護初心者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

めまいの種類とその特徴

めまいは大きく「末梢性めまい」「中枢性めまい」「失神性めまい」に分けられます。

末梢性めまいは、中耳炎やメニエール病といった前庭器官の異常で引き起こされることが多いです。

寝返りを打ったり、頭の位置を動かしたときに起こる「良性発作性頭位めまい症」もここに分類されます。

ぐるぐると回転するめまいが特徴で、難聴や耳鳴りを伴うという特徴もあります。

中枢性めまいは脳血管障害によって引き起こされるめまいなので、緊急度が高いと判断されます。

特に小脳や脳幹にダメージを受けるとめまいが出現しやすくなります。

もちろん脳に障害が起こっているため、頭痛や運動障害を伴うこともあります。

失神性めまいは、自律神経系の異常や貧血などによって引き起こされるめまいです。

立ち上がる時にくらっとくるのが特徴です。

利用者から情報収集をする

利用者、または家族から得られる情報はかなり大切です。

なぜなら、訪問看護は病院と違い、常に状態を把握することはできません。

そのため、訪問看護が介入していない時間はどうだったかを聴取する必要があります。

めまいがある利用者には、以下のような内容を聴取すると良いでしょう。

めまいは「ぐるぐる」や「ふわふわ」といった、主観的な情報がかなり大切になるため、問診から得られる情報は重要です。

その反面、言葉ではうまく表すこともできない利用者も多いため、「ぐるぐる回る感じですか?」など、ある程度こちらから選択肢を与えていくことも必要になってくるかもしれません。

ただ、現時点でめまいが出現している場合は、過度な問診は負担でしかないため、休息を優先したり客観的に見られている情報収集の優先順位を挙げると良いでしょう。

バイタルサインを測定する

バイタルサインとは利用者の生命に関する最も基本的な情報であり、心拍数・呼吸数・血圧・体温の4項目を指します。

バイタルサインを測定すれば利用者の状態を客観的、かつ数値で把握することができるため、かなり重要な情報となります。

そのため、弊社では看護師、リハビリスタッフともに訪問をしたらまずはバイタルサインを測定します。

例えば出血性を伴う貧血によってめまいが表れている場合は、血圧低下を生じる可能性があります。

逆に脳血管障害によるめまいの場合は血圧上昇を認めます。

起立性低血圧によるめまいの場合は、臥位・座位・立位時での血圧変化を測定しておくのも良いでしょう。

特に長時間臥位でいる利用者を起こすときは、臥位の状態に体が慣れてしまっているため血圧低下を引き起こすことが良くあります。

起こした後は数分置きに血圧測定をして、血圧が低下しないかを確認するのもリスク管理の一つになります。

また、不整脈がある場合でもめまいは出現することがあるので注意が必要です。

意識レベルを評価する

利用者との会話やバイタルサインを測定しているとき、同時に意識レベルを評価すると良いでしょう。

意識レベルの評価には、「JCS(Japan Coma Scale)」や「GCS(Glasgow Coma Scale)が主に用いられています。

麻痺の有無をチェックする

緊急度が高い脳血管障害によるめまいが出現している場合は、運動障害が出現することがあります。

そのため、麻痺の有無はしっかりと評価するべきだと考えます。

おそらく訪問看護の現場では、見て明らかに分かる麻痺であれば判断に困らないかと思います。

見逃してしまいがちなのは、「軽微な麻痺」です。

軽微な麻痺は一見分かりづらいため、バレー徴候(上肢・下肢の軽微な麻痺の判断に用いられる評価方法)を用いて評価すると良いでしょう。

上肢の場合は肩関節を90度まで上げた位置で手のひらを上に向け、この状態で目を閉じてもらい、軽微な麻痺がある場合は手が内側に回りながら下に落ちてくる様子が確認できます。

下肢の場合はうつ伏せで膝関節を45度に曲げた状態で止めてもらい、麻痺がある場合はゆっくりと下垂していく様子が確認できます。

ただし、既往歴に脳血管疾患がある場合はもともとバレー徴候が確認できることがあるため、初回評価時などにしっかりと確認しておくことが望まれます。

失調の有無をチェックする

脳血管障害によるめまいは、小脳系がダメージを受けると現れやすいのですが、小脳がダメージを受けると失調が出現することがあります。

そのため、失調が表れているかどうかを評価しておくことも重要です。

失調の評価は、上肢であれば鼻指鼻試験、下肢であれば踵膝試験がよく用いられています。

鼻指鼻試験は、人差し指を鼻先に当てさせ、その指先で検査者の指と自分の鼻を交互に触るよう指示します。

検査者の指は患者の指先が肘を伸ばした時にちょうど届く位置に置き、1往復ごとにその位置を変えるようにします。

この時、うまく検査者の指に触れなかったり、触るときにブレが生じたら上肢の失調が出ていると判断します。

踵膝試験は、踵を反対側の膝に正確にのせて、すねに沿って足首までまっすぐ踵をすべらせます。

この動作を2~3回行ってもらい、円滑さが損なわれていたりブレが生じていたら下肢の失調が出ていると判断します。

訪問中、めまいが起こった場合はどうする?

訪問中にめまいが起こったときは、第一に「安静」です。

また、めまいが起こったときは嘔吐をする可能性もあるため、顔を横向きにするようにしましょう。

耳鳴りなど耳にも症状が出ている場合は、症状が出ている耳を上にするのも基本となります。

もし、脳血管障害によるめまいが疑われる場合は、医療機関に連絡をしたり救急搬送の必要が出てきます。

緊急度が低いと判断した場合は、水分摂取を促したり、部屋を暗くしたりテレビを消して目や耳に入る刺激をできるだけ避けるよう対処すると良いでしょう。

そして、十分に睡眠をとるよう指導することも重要になってきます。

めまいに対するリハビリテーション

良性発作性頭位めまい症を代表に、前庭器官の異常により起こるめまいはリハビリで治すことができるかもしれません。

なぜなら、このようなめまいは、耳の中にある「耳石」が剝がれて三半規管に入り込むことで引き起こされている可能性があるからです。

めまいを治す代表的な体操に「寝返り体操」があります。

方法は簡単で、仰向けの姿勢から頭部を右に向けて、再び仰向けに戻る、次は左側を向いて再び仰向けに戻る。

これをそれぞれ10秒ずつ朝晩3往復行うことが推奨されています。

横になったままできる体操なので、適応利用者の幅が広いことも嬉しいポイントです。

同じく良性発作性頭位めまい症や高齢のめまい、片頭痛のめまいに効果があると言われている方法で、「小脳トレーニング」というものがあります。

方法は、まず親指を立てた状態で腕を前に出し、爪から目線を離さないように頭を左右に20回振る。

この時のポイントは、目線が爪から離れないようにすることです。

実際にやってみると目線が爪から離れやすい、または見にくい側があることに気付く人もいるかもしれません。

その場合、離れやすい・見にくい側の内耳の機能が落ちていると言われています。

主治医やケアマネジャーへの報告・連絡・相談

何かいつもと違うことが起こったとき、主治医やケアマネジャーへの報告・連絡・相談は重要です。

なぜなら、私たち訪問看護が単体でできることには限界があり、チームアプローチとして利用者に関わることが求められると考えているからです。

特に弊社では、よりよい関係性を築かせていただきたいという思いも込めて、多職種へとの連携を重要視しています。

緊急性が高いと判断できた場合は、その場で主治医に連絡、もしくは救急搬送の対応をするようにしましょう。

いきいきSUN訪問看護ステーションのサポート体制

このようなポイントをおさえていたとしても、訪問看護は一人で訪問をすることが多いという特徴柄、いざ予期しない出来事に遭遇すると焦ってしまうものです。

特に初心者の方だと不安を抱えてしまう人も多いでしょう。

いきいきSUN訪問看護ステーションでは、以下のようなサポート体制によって、スタッフが安心して訪問をできる環境を整えております。

①ICTの活用にて遠隔でもサポートが受けられる

弊社では業務効率化を目的に、さまざまなICT技術(電子カルテシステム・コミュニケーションツール・情報共有ツール・IP電話ツールなど)を活用しています。

スタッフにはスマートフォンを貸与しており、チャットシステム(Synologychat)を利用すればいつでもスタッフ間でメッセージのやり取りをすることができます。

もちろん、緊急の際や自分一人での判断に困る場合は、電話で管理者が対応いたします。

②動画研修サービスの充実

訪問看護は利用者の自宅に訪問をするという業務のため、事務所にいる時間が限られます。

そのため、勉強会を開くとなると時間外になってしまうことも少なくありません。

その点、弊社ではいつでもどこでも研修を受けられるよう、動画研修サービスを充実させています。

専用のサーバーに動画をアップしているので、貸与したスマートフォンからいつでもどこでも視聴することが可能です。

訪問のスキマ時間に見ているスタッフも多くいます。

VTuberの採用、フルテロップなど分かりやすいと大変好評です♪

「訪問看護に興味がある」「初心者だけど大丈夫かな」

このように思っている方は、ぜひいきいきSUN訪問看護ステーションで働いてみませんか?

ステーションの見学だけでも大歓迎です!!

参考文献・参考サイト