家族、そして自分に希望を届けてくれたのが
訪問看護師だった。
わたしは一見、訪問看護やリハビリとは縁がなさそうな人生を送っています。ミュージシャンを目指して19歳で渡米し、その後は友人と飲食業や介護事業を立ち上げました。
訪問看護と出会ったのは、母ががんになったとき。毎週のように来てくれる看護師がもつ温もりに、何度も助けられました。家族ではないけれど、他人という気もしない、それは日々の生活に差し込む、柔らかい光のような存在でした。自分が受けたいケアは、と聞かれたら、私は「希望を放っていて、部屋をぱっと明るく照らしてくれるような、そんな人に来てほしい」と答えるでしょう。
病気がどのように進行するかという不安、どうやってケアするべきかという悩みを抱えていた当時、母にとっても、家族である私たちにとっても、訪問看護は大きな支えになりました。
使命感をもつ医療職が、
思い切り働ける環境をつくれないか。
しかし母は、最期は家ではなくホスピスで看取ることになりました。ゴールデンウィーク中だけ、ホスピスでショートステイしてみませんか?という往診医からの提案のなかでの出来ごとでした。連休中はスタッフが足りず、万が一の時にも安心できるように、という配慮からのお話だったので、偶然タイミングが重なった結果であろうと理解はしています。
ひとりひとりの「やりたい!」を叶えた先、
社会インフラを支える企業になれるはず。
わたしは医療職の可能性を本気で信じています。だからこそ、当社で働くひとりひとりがもっと挑戦できる、もっとキャリアを選択できる場づくりを目指してきました。これまで生み出してきた事業のきっかけは、「解決したい社会課題」と「スタッフの可能性」の掛け算です。
スタッフからは日々、いろんな声が届きます。たとえば、いきいきSUNの拠点を日本中につくりたい。医ケア児とその家族を支えたい。障がい者の雇用や機会提供を支援したい。ハンディキャップを持つ人の旅行支援を行いたい。地域の人たちが交流できるカフェをつくりたい。
そんな中、食を通じたQOLの改善を目指す「おみその森」という飲食事業、在宅で療育支援を提供する「おこSUN」という障害福祉事業が生まれ、少しずつ形になっています。そうやって、ひとつひとつを叶えた先、私たちは、あらゆる側面から社会インフラを支えられる企業になっていくはずです。
キラキラと光を放ちながら生きてほしい。
そのために、選択肢を広げつづける。
需要が年々増えている訪問看護業界においては、現場で走るスタッフをどれだけ集められるか、そして訪問件数を積み重ねられるかが重要だという考え方があります。確かに、効率の良い経営だけを考えると、私たちの発想は笑われるかもしれません。
しかし、私たちは短期的な結果ではなく、生きること、働くことの意味を長期的に捉えています。健康に生きられる時間は有限です。だからこそ、ゴールまでの過程を誰と過ごすかが、キラキラと明るい光を放つ価値になっていくと考えているのです。
訪問看護という働き方の先に、どんな未来があるのか?それを提供できる環境こそが、働くスタッフにとっての新たなステップとなるのではないか。そして、自分の未来にワクワクする心が、利用者様に、より明るいあしたを届けるきっかけになっていくことを願って止みません。
このように「生きる力」を持つひとりひとりがやりたいことを実現するために、メディセプトとしての選択肢を広げていく。それこそ、わたしが取り組みつづけるテーマなのです。